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Perfume「 WORLD TOUR 1st」DVD鑑賞




海外初進出ツアーのライブDVDを観た。

高温多湿の中で、汗だくになりながら

コンパクトなハコ仕様のパフォーマンスと

通訳を募るなどの愉快なMCで湧かせ

今の精一杯を出し惜しみしない彼女らに釘付けになった。

で、予想外の感動をもたらしてくれたのがエンドロール。

ライブ終了後に、観客の皆さんが自発的に

「ポリリズム」を合唱してる映像が流れるんだけど

その会場内のあったか~い空気が国境を越えたものとして

伝わってきて胸がいっぱいになるのです。

つくづく愛されてるなぁって・・・

愛してくれてありがとう!って・・・



7月はいよいよユーロ圏ヨーロッパでの2ndツアー。

間違いなく伝わることでしょう!





Top▲ | # by la_lune11 | 2013-05-27 21:38 | ・音楽
真鶴  川上弘美





失踪した夫を思いつつ、恋人の青茲と付き合う京は、
夫、礼の日記に、「真鶴」という文字を見つける。
“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう京。
夫は「真鶴」にいるのか?




******************************





アクの強い作品のあとに読んだものだから、
川上文学特有の淡い文体に集中移行するまで暫し手間取りました。


“歩いていると、ついてくるものがあった”
という一文から始まる本作は、表裏一体にある非現実的な世界を
自然に取り込みながら、同じ血を分けた三世代の女性の姿を通し
“女”が辿る普遍的な感情のサイクルを見事に描き切ってあるものでした。


『センセイの鞄』のようなほのぼのとした温かみはなく、
どちらかといえば暗鬱とした空気が漂いまくっていますが、
読み終わった今は、改めて川上さんの描く世界の深さ、
その筆力に敬服すると同時に、実はこれまでの
読書経験にはない無機質な涙を零した自分自身にも驚いています。
それはもしかすると私が女であることに加え、
どれほど親しい間柄にあろうが関係なく、
人間関係を形成する上で無意識下に湧き上がってきてしまう
冷めた感情の源流である“永遠に交わらないもの”の
神髄に触れたからかもしれません。


これは父親の顔を知らぬ娘と実母の3人で暮らす主人公の京が、
執筆業を介し知り合った恋人がありながらも
失踪した夫の礼への思いを断ち切れぬまま
彼がメモに書き残した“真鶴”へと二度三度と訪れる物語で、
登場人物をはじめ全てものが輪郭を成さぬ曖昧模糊なものとして始まります。
そしてそれはこれまでの日々を回顧することによってやがて輪郭を成し、
絡みとって離さない吸引力を持ち始めていきます。


洗練された言葉によって紡がれる心の温度差、
その間、その深淵に何度ゾクリときたことでしょう。
人は死ぬまでに何度心に折り合いをつけなければならないのかと、
ついそんなことをボンヤリと考えてしまいました。


実は京に共感しながらも失踪した礼の方に激しく共感してしまった私。
自覚していたこととはいえ
問題ありきの再認識となってしまいました(苦笑)。


人を愛するとは本当に難しいものです。
そして、女であり続けることも。





年ごろ、という言葉で始末するのは、かんたんなのよね。
母は目をとじ加減にしながらつぶやいた。
年ごろ、じゃなくて、始まり、なのよ、たぶん。








お気に入り度:★★★★★★★★★★





Top▲ | # by la_lune11 | 2011-07-06 00:51 | ・読書:か行の作家
彼女がその名を知らない鳥たち  沼田まほかる





十和子は淋しさから、飲み会で出会ったうだつの上がらない
中年男・陣治と関係を持ち、なんとなく一緒に暮らすようになる。
ある日、陣治の部屋で、昔の男から贈られたピアスを発見する。
何故ここに…。
十和子が選んだ驚くべき行動とは!
壊れかけた女、人生をあきらめた男。
ダメな大人が繰りひろげる100%ピュアな純愛サスペンス。




******************************





*初読み

ここ最近、沼田作品の感想をよく見かけることが多く、
評判の良い最新作の『ユリゴコロ』をと思ったら、
予約者多数のため手始めにこれを借りてみました。


臓腑を掻き回されるような小説、
とでも言ったら大げさになるのかな(苦笑)
“100%ピュアな純愛サスペンス”という
内容紹介文はズバリ言い得てるんだけれど、
そのピュアや純愛とやらの境地に至るまでのドロッドロの世界に、
ただただもう圧倒されまくるというかなんというか。
複雑な内面を、しかも、よくもまぁキャラごとにこれほど剥き出しに
描き分けることが出来るもんだと感心しきりでした。


昔の男をずっと引き摺ったまま、
仕事もせず陣治に依存しダラダラと日々を過ごす十和子。
かたや見目悪いお下品なおっちゃんで、何かとイラつく言動、
ねちっこく付き纏う陣治は正直気持ち悪い。
多分私も彼を前にしたら引くと思う。
そんな陣治に対し情緒不安定な十和子が容赦なく浴びせまくる
罵詈雑言の数々。痛い陣治に哀れみを感じる一方で、
虫酸が走るほどの嫌悪感を感じながらも、
陣治を切ることの出来ない十和子にもすっごく共感できちゃったりして、
この感情のギリギリのラインこそ、
この小説の秀逸たるところかもしれないとつくづく思いました。


読んでいる最中は本当にしんどい。
だってあまりにもマイナスオーラ全開だから。
でも彼女たちの泥沼のような生活を一度覗くと
最後まで見届けなきゃならないよな恐ろしい吸引力があるのも確かで、
サスペンス色が強くなった頃には先が気になって仕方がないほど。
そして迎える衝撃のラスト。
陣治のとった行動の裏には、幼少期に見た馬力引きのおっさんと馬の姿を
体現できる最高の選択肢でもあったからかもしれない、
そんな気がしてなりませんでした。


何故、今、沼田作品なのか。
漠然とだけど分かったような気がします。
だってこれは間違いなく
21世紀に斬新な風を吹き込む究極の愛の物語だから。
時間を空け陣治視点でもう一回再読してみるのもいいかも。
きっとまた新たな読後感を体感できることでしょうから。







お気に入り度:★★★★★★★★★☆





Top▲ | # by la_lune11 | 2011-06-25 00:54 | ・読書:な行の作家
猫を抱いて象と泳ぐ  小川洋子





伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの、
ひそやかな奇跡を描き尽くした、
せつなく、いとおしい、宝物のような長篇小説 。




******************************





盤下の詩人と呼ばれた伝説のチェスプレーヤー、
リトル・アリョーヒンの生涯を描いた本作は、
将棋のルールすら知らぬ私にも、チェスの神秘性その魅力が
静かな感動と共にじわじわと伝わってくるもので、
小川さんらしい透明感のある優しい作品でした。


誕生間もなく受けた手術痕を揶揄いの対象とされ、
心のどこかに哀しみとも寂しさともつかない
何かを抱えている少年リトル・アリョーヒン。
そんな彼が温かい家族の元で、チェスと出会い、
人と出会い、生きる場所を見つけるまでの日々は、
まるでかけがえのない宝物のように
キラキラ煌めいていて読まされます。


あちこちに散りばめられた
“閉じ込められる”というキーワードの利かせ方も巧くて、
身体的に閉じ込められる恐怖の一方で、
チェスの海に心を解放していく。
それは果てしなく続く無限宇宙の広がりそのもので、
ラストのまとめ方も素晴らしかった。


謎めいたタイトルも読み終えてしまうと、
このネーミング以上のものは考えつかないほど内容に即したもので、
この先何年かして記憶が薄れたとしても、
現イメージはタイトルを見るだけでぶわっと蘇るのではないか、
そんな気がしています。


インディラ、マスター、ポーン、ミイラ&鳩、
老婆令嬢、キャリーバック老人、総婦長、
おじいちゃん、おばあちゃん、弟君、
そしてリトル・アリョーヒン。
またいつの日か記憶の海で会えるといいな。


そういえばちょうどこの作品を読んでいる頃に、
中国で壁と壁の間に男の子が挟まれるという
ニュースが流れてビックリ。
無事脱出できたから良かったけれど、
ミイラになっちゃうんじゃないかとちょっと冷や冷やものでした。







お気に入り度:★★★★★★★★★☆





Top▲ | # by la_lune11 | 2011-06-25 00:37 | ・読書:あ行の作家
孔雀の目がみてる  蜂飼耳




中原中也賞受賞の現代詩界のホープが、
身の回りの情景や心震わす書物を、鋭く澄んだ目で見据え、
繊細で鋭敏な五感と言葉でつづった待望のベストエッセイ集。




******************************





蜂飼さんの文章に触れるたびに
その眼差しの深さに感嘆してしまう。
多分、同じ時間、同じ場所を過ごすにしても、
彼女はきっと誰もが見向きもしないよな何かを見つけ、
心の引き出しにそっとしまう作業を延々としているに違いない。
このエッセイにはそうした彼女の素が見え隠れする
家族、友人、子供の頃のエピソードを含め、
日常のありふれた光景を切り取ったものや、
読書、旅、生きものなどについて書かれており、
その研ぎ澄まされた感覚と言葉のセンスから繰り出される世界は、
まるで水琴窟のような響きを伴い心の深いところに沁み渡る。
以下特に印象的なもの。




「夏の青虫」
子供の頃に飼っていた二匹の揚羽蝶の青虫について。
大概の人が苦手とするその小さな生きものを慈しむ姿に
感性の原点を感じる作品で、成虫になるのとならないのとの
運命に生命の神秘性を感じました。


「植えてみたいと思った」
つくし採りから始まり、他人の畑の隅っこに
ジャガイモを植えようとしたエピソードまで。
蜂飼さんの素が一番うかがえる作品でとても微笑ましかった。


「銭湯」
東京都内にあるという昔の建築物を移築した
お湯のない銭湯について書かれたもので、
賑やいだ昔の残像に対する表現が秀逸。
まるで自分もそこにいるかのように鮮明にイメージできました。


「鰐の気配」
レオポール・ショヴォの『年を歴た鰐の話』について書かれたもので、
昭和16年に刊行されて以降、幻の本とされ復刊した本書は、
鰐のおじいさんが自分の家族の一匹を食べちゃうところからはじまるらしく、
続く12本の足を持つ蛸との展開も大変面白そうだった。


「魯迅」
魯迅作品の中で最も再読を繰り返すという『宮芝居』について書かれたもの。
子供たちだけで船に乗り他の村へ芝居を観に行くお話。
船上で盗んだ豆を煮て食べるという行為を想像するだけで、
大好きな中国アニメの世界と重なりワクワクしてしまう。


「酉の市」
まだ友人になって日の浅い友と酉の市の露店を巡った時のお話。
「あ、つばが」「フジですか、ムツですか」の発言が堪らなくいい。
新鮮な驚きを与え合える友人期間って貴重だよね。


「本を読む」
21世紀に残したい5冊は、というアンケートがあったときに
迷いなく取り上げるという長谷川時雨の回想録『旧聞日本橋』。
江戸期の人たちの生活や様々な出来事を鮮やかに描いた作品で、
何よりも書物を愛する少女のエピソードに堪らなく惹かれる。


「小菊」
一度だけ文学者の墓参りに行った時の話。
冒頭いきなり西村賢太さんの藤沢清造全集のことだもんで
食いつきのよいことよいこと。
墓参りに行ったという文学者もなんと尾崎翠。
私も鳥取を訪れた際は足を延ばしてみようかなぁ。


「香月泰男展のこと」
戦争・虜囚体験を描いた「シベリア・シリーズ」で有名な香月さんについて。
「青の太陽」は私も忘れられない絵画の一つなので興味深く読みました。
厳しい体験を描く一方で、日常に転がっている静物をも題材にしている彼。
「青の太陽」と同時に描かれた「南瓜」について蜂飼さんはこう記している。
「遠い地の記憶を描き、指の先にころがっている野菜も描いた。
香月泰男は、野菜に記憶の青空を支えさせた。」と。


「撮る、撮られる」
アフガニスタンの映画事情について書かれたもの。
情勢不安な地で映画を撮る、撮られることの
意味するものの大きさに改めて考えさせられた。
こういう映画こそ多くの人に観るチャンスがあって欲しい。


「真夜中の島」
スコットランドのスカイ島を訪れた時の
印象的な夜の光景について書かれたもの。
食うもの、食われるものの生命の光に満ち満ちた描写が素晴らしい。


「イニシュマーン島」
アイルランドのアラン諸島を訪れた時のお話。
個人的にとても憧れている島だったので興味深く読ませてもらいました。
地に足のついた島暮らしに、さらに憧れは増すばかりなり。


「龍を見る」
北鎌倉にある龍の天井画を祖母と観に行った時のお話。
天井画に見下ろされながら、小さな祖母と二人並んで
龍の話をする光景、その会話がとても微笑ましくて好き。






「また」とか「ふたたび」という言葉は、
ときおり悪げもなく現実を薄める。
ほんとうは、どんなこともたった一度 
                 





ペットに服などを着せて、
すきなようにいじればいじるほど、
飼い主の心には穴があいていくと思う。
なぜなら、人間の「誇り」を支えているのは
じつはほかの生きものの「誇り」だから





                           
たとえすきになれなくても、
胸を噛んで離れない小説というものがある 
     
                                  
                     (文中より抜粋)








お気に入り度:★★★★★★★★★★





Top▲ | # by la_lune11 | 2011-06-23 01:01 | ・読書:は行の作家
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